早期退職やセミリタイアを検討している方が必ず直面するのが、退職後の健康保険料問題です。
会社員時代は会社が半分負担してくれていた社会保険料も、退職すると全額自己負担に。
このとき選択肢になるのが、国民健康保険(国保)と社会保険の任意継続です。
今回は、54歳前後で退職したケースをモデルに、どちらが得になるかを比較してみました。
国保と任意継続のざっくり特徴
国民健康保険(国保)
- 前年の所得をベースに計算
- 退職翌年は前年の給与が反映され、高額になりやすい
- 所得が下がれば保険料も翌年以降安くなる
- 医療機関での自己負担割合は同じ(原則3割)
社会保険の任意継続
- 最長2年間、退職時の標準報酬月額で計算
- 会社負担分も自分で負担するため現役時の2倍近くになるが、国保初年度より安い場合が多い
- 保険料は固定で途中変更不可
- 途中で国保に乗り換えはできない(原則2年継続)
比較シミュレーション(54歳退職モデル)
単位:万円/月(夫婦2人分)
※国民年金保険料は別途
年齢(本人) | 国保 | 任意継続 | ポイント |
---|---|---|---|
退職年 | 3.8 | 3.8 | 社保の月割り計算でほぼ同額 |
翌年 | 4.5 | 3.2 | 国保は前年収反映で高額、任意継続が有利 |
翌々年 | 1.6 | 3.2 | 所得減で国保大幅減、国保が有利 |
3年目以降 | 1.6 | ― | 任意継続不可、国保一択 |
節約のコツ
- 退職翌年は任意継続が有利なケースが多い
→ 年間で10万円以上差が出ることも。 - 2年目以降は国保が有利になる場合が多い
→ 所得が低ければさらに差が広がる。 - 1年だけ任意継続→国保切り替えが最安ルートになることも多い。
注意点
- 国保料は自治体ごとに計算式が異なる
- 株や不動産収入がある場合は国保が高額になる可能性あり
- 任意継続の申請期限は退職日の翌日から20日以内
- 介護保険料(40歳以上)は別途加算される
まとめ
退職後の健康保険料は、選び方次第で年間数十万円の差が生まれます。
特に、退職翌年の国保は前年の高所得が反映されるため、任意継続でやり過ごすのが節約の王道パターン。
2年目以降は国保に切り替えることで、負担を大きく減らすことが可能です。
退職前には必ず、お住まいの自治体の国保料試算と、任意継続の見積もりを取り、比較してから決めましょう。