54歳からの選択|早期退職シミュレーションで考慮すべき7つの視点

人生100年時代。働き方や暮らし方に対する価値観が多様化する中、「早期退職」を現実的な選択肢として考える方も増えてきました。
ですが、勢いで退職してしまってから「こんなはずじゃなかった」と後悔する声も、少なくありません。

そこで今回は、私自身が早期退職を真剣に検討する中で見えてきた、**「早期退職シミュレーションで考慮すべき視点」**を7つにまとめてご紹介します。


① 生活費は“税・保険込み”で再計算する

会社員を辞めると、健康保険・年金・住民税などすべて自分で払うことになります
退職直後に思ったより出費が多く、「生活費の見積もりが甘かった」と感じる人が非常に多いです。

✅ ポイント

  • 国民健康保険は前年年収ベースで計算されるため、初年度が最も高い
  • 住民税も1年遅れで請求
  • 国民年金は月16,980円(2025年時点)×夫婦分

生活費=25万円/月と想定しても、実際の出費は30万円以上になるケースも


② 住宅ローンや大型支出も織り込む

「ローンはあと○年」「クルマの買い替えは○年後」「住宅リフォームもそろそろ…」
これらを忘れずに織り込んでおく必要があります。

✅ よくある見落とし

  • 車の買い替え:100〜200万円
  • 住宅修繕(外壁・水回り):100〜300万円
  • 家電の一斉買い替え(冷蔵庫・エアコンなど)

こういった不定期な大きな支出も資金計画に必ず反映しましょう。


③ 年金受給年齢を何歳にするかで資金計画は大きく変わる

年金の受給開始を繰り下げると、1か月ごとに0.7%増額され、70歳で受け取れば最大42%増
ですが、その分「つなぎ資金」が多く必要です。

✅ 比較の目安(夫婦合算・一般的なモデル)

  • 65歳受給:月16万円前後
  • 67歳受給:月18〜19万円
  • 70歳受給:月22万円前後

自分の貯蓄や退職金で、何歳まで無収入で持ちこたえられるかがポイントです。


④ 退職金はいくら必要か「逆算」する

退職金や貯蓄が「いくらあれば安心か」ではなく、年金受給までに必要な資金から逆算するのが正解。

✅ ざっくり試算の例(1人分)

  • 65歳まで11年 × 月30万円(生活費+税等)=3,960万円
  • 雇用保険や配偶者収入で軽減しても、退職金は2,000万円以上必要なケースも

⑤ インフレの影響も想定する

最近の物価上昇は想像以上。
仮に毎年2%のインフレが続くと、10年で生活費が約22%増になります。

✅ 生活費30万円 → 10年後は約36万円に

「今の生活が続けられるか」ではなく、「将来も続けられるか」を必ず考えましょう。


⑥ 配偶者・家族の状況も重要な要素

  • 配偶者が扶養内パートでも年金に影響
  • 子どもの学費・就職状況
  • 親の介護、義兄弟など家族構成

特に障害年金・扶養関係・保険の受取額などは、退職後の収入・支出に大きく関わります。


⑦ 「心の準備」もシミュレーションの一部

「毎日が日曜日」で気分が落ち込む方も。
人によっては退職後に社会との接点や役割を失って、うつ状態になることもあります。

✅ おすすめ

  • 小さな習い事やボランティアを始めておく
  • 旅行や趣味に目的を持たせる
  • 地元の知り合いとのつながりを維持する

お金だけでなく、暮らしの設計図も描きましょう。


最後に|「何歳まで働くか」ではなく「どう生きるか」

早期退職は、単なる“ゴール”ではなく“スタート”。
そのスタートラインに立つ前に、できるだけ多くのシミュレーションを重ねておくことで、後悔のない選択ができます。

いま、あなたの頭の中にある“もしも”を、ひとつずつ言語化して、紙に書き出してみてください。
未来が少し、クリアに見えてくるかもしれません。